3-3 寸法公差

寸法公差とは

この図面を見て部品を作る場合を考えましょう。直径 50mm と寸法が記入されていますが、実際に50mmちょうどに仕上げるのはほとんど困難です。しかし、機械部品は、厳密に寸法が一致していなくても、ある程度の範囲に仕上がっていれば実際の機能に差しつかえがない場合が多いものです。また、必要以上に厳密に作っても、手間とコストがかさむばかりです。
上図の場合、図面上では直径50mm の部品ですが、実際は49.96mm から50.05mmまでの間に仕上がっていれば合格品として扱うことができるわけです。
下図のように寸法を記入して指示します。こうして部品を作ったとき、実際に仕上がった寸法を「実寸法」加工の基準になる寸法つまり図面にかかれている寸法を「基準寸法」といいます。
下図のように、許される限界を表す寸法を「許容限界寸法」といいます。大きいほうが「最大許容寸法」、小さいほうが「最小許容寸法」です。そして、この「最大許容寸法」と「最小許容寸法」の差を、「寸法公差」と呼びます( 紛らわしくない場合は「公差」ともいいます)。そのうち、最大許容寸法と基準寸法との差を「上の寸法許容差」 最小許容寸法と基準寸法との差を「下の寸法許容差」といいます。
公差の中には、工作精度のように公差が積極的な意味をもたないものがあります。この場合、図面上に寸法許容差を記入すると、必要以上に製作や検査が厳しくなったり、図面が見づらくなったりします。このようなときの目安として、JISでは「普通寸法公差(普通公差)」を定めています。主に機能上特別な精度が要求されていない寸法に適用します。(3.3 一括指定する方法参照)。

• 出来上がった部品の測定

出来上がった部品は、指定された範囲におさまっているかどうか、ノギスやマイクロメータを使って測ります。しかし、同じものを簡単にチェックするために、「限界ゲージ」があります。
まず、穴を測るための「穴用限界ゲージ( プラグゲージ)」です。短いほうが「止り側」、長いほうが「通り側」です。最小許容寸法の「通り側」が穴を通れば、最小許容寸法より大きいということになります。
最大許容寸法穴用限界ゲージの「止り側」が穴を通れなければ、最大許容寸法より小さいということになります。両方の条件をクリアすれば、その部品は合格です。
軸を測るのは、「軸用限界ゲージ( はさみゲージ)」です。こちらは、最小許容寸法が「止り側」で、最大許容寸法が「通り側」です。角に丸みが付けてあるほうが「止り側」、面取りがしてあるほうが「通り側」です。これも、両方の条件をクリアすれば合格です。

図面への記入

寸法の許容限界値を数値によって指示するには、基準寸法の次に寸法許容差( 上および下の寸法許容差) の数値を記入して示します。この場合、上の寸法許容差は上側に、下の寸法許容差は下側に記入します。小数点以下の桁数は揃えます。

上または下の寸法許容差のどちらかの数値が0 の場合は、数字「0」で示します。0には正負の記号は付けません。
上下の寸法許容差の数値が等しい場合は、ひとつにまとめた絶対値に±の記号を付けます。このとき、数字の大きさは基準寸法と同じです。
許容限界寸法で示す場合は、最大許容寸法を上側、最小許容寸法を下側に記入します。数字の大きさに注意してください。
片側許容限界寸法、つまり寸法を最大、または最小のいずれか一方向だけ許容する必要があるときには、寸法数値の前に” 最大” または” 最小” を付けるか(上図左)、寸法数値の後ろに“max”または“min”を付けます(上図右)。
max. = maximum(最大)
min. = minimum( 最小)

• 寸法許容差による方法

寸法公差付きの寸法の各要素は、次のような順序で記入します。基準寸法のあとに「公差域クラス」を記入します。公差域クラスの記号に加えて、寸法許容差または許容限界寸法を示す必要がある場合には、それらに( ) を付けて付記します。
寸法公差はどこにでも記入したほうがいいというものではありません。各部分に許される寸法に矛盾が起こらないようにするため、あまり重要でない寸法には公差を記入しないほうがいいのです。図のように、基準面を決めてそこを元にして記入するとよいでしょう。
• 一括指示する方法

① 簡単な図面の場合は“寸法公差0.25”といったように、注記などで指示します。
② 普通寸法公差または、許容差の中に“JIS B 0405-m”のように指示します。

面取り部分を除く長さ寸法に対する許容差(単位mm)
0.5mm 未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。

面取り部分の長さ寸法(角の丸みおよび角の面取り寸法)に対する許容差(単位mm)
0.5mm 未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。

角度寸法の許容差(単位mm0)
• 角度寸法の許容限界の記入寸法

図面に角度の許容限界を記入する方法は、長さ寸法のそれを同様に適応します。ただし、角度の場合には、下図のように数値に必ず角度の単位記号を付記しなければなりません。なお、独立の原則の採用にともなって、角度寸法公差は対象とする形体の線の方向だけを規制し、その形状偏差は規制しないので、必要に応じて幾何公差を指示するとよいでしょう。